書評
—編集 乾死乃生 木下安子—難病と保健活動
板橋 純子
1
1北海道岩見沢保健所
pp.48
発行日 1986年1月10日
Published Date 1986/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207107
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期待される難病への保健婦活動
保健所は,公衆衛生活動の第一線機関としての機能を果たすことを期待されているが,現状の保健婦活動は,法的に制度化されている対策に追われがちで,個々の健康を守るところまでサービスがゆきとどいてはいない。特に"難病"は,個々のケースの抱えている問題の深刻さでは,かつての"結核"と共通のものを持つといえるにもかかわらず,それへの取組みはいまだ歴史も浅く,不十分である。
本書は,先達による難病への取り組みの中から,主に保健婦活動の実践を振り返っており,今後の保健婦活動の指針としての役割も果たしているので,貴重な著書と評価し得る。これまでの私の類書に対する読後感は,ややもすれば疾病への理解と医療面としての難病に目がとらわれがちで,また在宅患者の看護事例についても,技術面に関心を奪われ,取り組むチームワークのよさに羨望の目を向けるばかりであった。
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