書評
—木下正一他監修—「母子保健講座(全5巻)」
坂元 正一
1
1東大医学部産婦人科
pp.35
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204474
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母子保健確立の好個な書
母子保健という語感は,日本においてはたいへん概念的なものとしてとらえていた。行政的,公衆衛生的な面が強く浮かび出ていた上に,実地臨床面,母児を対象とする民間団体の諸事業,そして婦人雑誌関係の啓蒙運動がバラバラに勝手なベクトルを以て歩んでいたと言える。
しかし時代の進歩は,この現状を脱皮して広い視野にたった,しかも統一のとれた母子保健の確立を,関係者すべてに要請することとなった。欧米を知る先覚者たちが真の母子保健の在り方,それにたずさわる人々の業務の高度化と拡大化を,この母子保健講座の組立て,すなわち第1巻母子保健概論,第2巻母子保健医学,第3巻助産婦・助産業務管理,第4巻母子保健管理,第5巻地域母子保健・家族社会学,のような形で教育することで実現すべきことを強調されていたにもかかわらず,然るべき参考文献もまとめられないこともあってか,教える人の頭の中の切かえは難しかったようである。
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