連載 ケーススタディ—アルコール依存症への理解と援助・2
アルコール依存症の家族介入と保健婦の役割
小林 るみ
1
,
加藤 幸子
2
1東京都足立区足立保健所
2東京都足立区千住保健所
pp.891-896
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900345
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はじめに
保健所にはアルコール依存症についての相談が,家族から持ちこまれるケースが多い。また,家族を持つアルコール依存症のケースは,本人のみならずその家族がアルコール問題に巻きこまれ,家族介入を必要としている場合が多い。しかし,保健婦1人で問題解決することは困難で,依存症という病気の特徴から,保健婦と相談者の依存関係を新たに作るだけという危険もある。
そこで足立保健所では,昭和57年7月に酒害相談事業を開始以来,グループワーク中心で第一相談者(first client;以下,FCとする)の参加を勧めてきた。現在は同じ区内の千住保健所との共同事業として月2回ずつ開催し,相談者は週1回保健所の酒害相談(グループミーティング)に参加できる体制になっている。また,酒害相談を進める中で,家族ミーティングの必要性が保健婦間でも実感されるようになり,平成2年から同区内の江北保健相談所で「家族の会」が発足した。酒害相談に参加しつつ「家族の会」に参加することもでき,各担当者や地区の担当保健婦は,必要な時に事例検討したり連絡をとりあっている。
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