書評
—松井 郎 朝倉 さか江 編集—"地域母子保健システム—障害の予知予防と早期発見,早期療育の実践"
加藤 欣子
1
1東京都江東区深川保健所
pp.45
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206773
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現場で作るセオリー—事実認識から出発するシステム
本書は母子保健活動に従事する保健婦の待望久しい本である。このような本が仲間の保健婦の手によって編まれたこと,それを可能とした共同作業者・共同研究者が傍にいたことを心から喜びたい。
母子保健の科学化,行政システムの形成を志す者には著名な"大津1974年度方式"以来,行政課題として"障害乳幼児の早期発見・早期治療"を前面に位置づけ,出生から就学までの子どもの発達を一貫して保障するための努力が各地で始まった。"大津に学ぶ"ことによって大都市から郡部まで,その試みは障害者運動の発展に支えられ多様なバリエーションを伴いながら進んだ。そして10年になろうとしている今日,過去の足跡をふりかえってみて,その施策の広がりが後方に有力な医療・療育機関をかかえている所,専門職確保と療育施設創設に成功した所に限られていることを感じる。
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