調査報告
60歳以上の人々の生活・意識調査
原 トナミ
1
,
福崎 政子
2
,
矢野 里美
2
,
福田 敦子
1
,
坪井 修平
3
1公立三豊総合病院
2公立三豊総合病院内科病棟
3公立三豊総合病院内科
pp.963-968
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206758
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はじめに
昭和50年のわが国の65歳以上の人口は886万人で総人口に占める割合は7%にすぎなかったが,昭和55年末には8.8%に増加しており,昭和75年度には現在の欧米諸国なみの14%に達し,本格的な高齢化社会が到来する。欧米諸国では65歳以上の人口の比率が5%から12%になるのに,フランスでは170年,スウェーデンでは105年と長い期間でゆっくり増加しているが,日本ではわずか45年という短期間で,世界でも最高のスピードで高齢化社会に突入することになる(表1,2)。香川県についてみると,昭和57年には総人口1,008,991人のうち,65歳以上が125,000人,12.4%で全国平均よりはるかに高い比率になっている。
現在,わが国の総医療費は年々伸び続け,10兆円を超えるに至っている。これは,一つには前述のような高齢化社会の将来が原因としてあげられよう。表3,4に示すように,加齢とともに有病率,受療率は上昇しており,しかも老齢患者では二つ以上の疾病を合併していることが多い。その結果,65歳以上の患者の1人当たりの診療費は15〜44歳に比し,ほぼ5倍で総額でも全体の1/3を占めている。周知の如く老人保健法が昭和58年2月から実施されたが,保健,医療,福祉にまたがるこの法律は,高齢化社会にすでに突入したわが国では,老人問題は避けては通れないもので時宜を得たものといえよう。
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