書評
—太田祖電,増田進ほか著—沢内村奮戦記 住民の生命を守る村
丸地 信弘
1
1東大医学部保健学科
pp.945
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206755
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乳児死亡率ゼロを目指し,"自分たちで生命を守った沢内村"の名前は,働きざかりの保健婦なら多く記憶にあるだろう。その沢内村の保健医療活動が最近あらためて注目されだしている。それは,昭和30年代に全国に先がけ老人医療費を無料にし,かつ全村健康管理活動の展開により最近では国保財政を黒字にしたというもので,全国の多くの市町村ではあまり考えられないほどの成果を上げているからだろう。
老人保健法が今春から実施に移され,その運用面での議論の多いとき,本書が「あけび書房」という出版社の処女作品として世に問われた意義は深い。本書では,沢内村の生命哲学に支えられた地域保健医療活動の歴史と現状が,その生活及び生産諸活動との関連で語られ,住民主体の行政や地域活動とは何かを学ぶ良い事例といえよう。
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