発言席
保健婦さん達との連携プレーを望む
藤野 糺
1
1水俣協立病院
pp.89
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206475
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水俣病の問題を考える時,認定問題は避けて通れない。紙数の関係で簡単に述べるが,これまで1万人以上が認定申請し,1,784(死亡465)名が認定,3,400名が棄却されている。審査が汚染の実態を反映して正しく行われていないため,申請者が審査のための検診をボイコットするといった異常事態が起こっている。患者は第1次裁判に引き続き,行政不服審査請求,第2次裁判を闘い,そして国・県をも被告にすえた第3次訴訟を闘っている。
水俣病の治療に対する医療機関の独自のとりくみは,市立明水園と当院で行われているのみである。当院は水俣病患者が全額出資した'74年開所の水俣診療所が'78年に32床の内科病院へと発展したものである。水俣病の根治療法はなく,対症療法として理学・運動・薬物療法がとりくまれている。また疾患別患者会活動が自ら病気を治すという立場から重視されている。さらに在宅の訪問リハビリが,寝たきりで最重症の成人・胎児性・小児性の水俣病患者をテストケースとして選び,実施されてきた。これらは予測以上の効果を表わし,その後症例を増やし,対象者も水俣病に限定せず必要とするすべての患者の訪問看護へと発展した。80年度で延べ550件の訪問を実施した。
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