連載 ヨーロッパにおけるプライマリー-ヘルス-ケア・2
ヨーロッパにおけるプライマリー-ヘルス-ケア(2)
Leo A. Kaprio
1
,
丸地 信弘
2
,
青木 玲
2
1WHOヨーロッパ地域事務局
2東大医学部保健学科
pp.124-132
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206215
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3.ヨーロッパ地域におけるPHCの主要課題
3.1 序
この章では,PHC概念に内在するヘルス-ケアの組織化について,新しい,しかも広範なアプローチをしていくことを阻害する主な障害をいくつか指摘し,簡単に討論したい。既に指摘した通り,PHCの諸原則を本式に適用できるのは(つまりPHCは開発途上国の,とりわけ農村部に向けて新たに形成されてきた方法なので)ヨーロッパ地域では少数の国だけである。この地域のその他の国では歴史的な影響や,比較的富裕であること,また医療を豊富に提供できること等が身近な諸問題を大いに限定し,極めて特異的なものにしている。
PHC概念を非常に工業化の進んだ国の,比較的ハードで,融通性のないヘルス-ケア-システムに適用するとき出会う問題は,何かの刷新や変革をする時に遭遇する問題と同じものである。これらのことは,途上国への警告あるいは危険信号として十分役に立ち,そこには彼らが遭遇しそうな問題があるので,それを予見することで問題回避ができるかもしれない。
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