海外だより
ヨーロッパの旅
岡田 和夫
1
1東京大学医学部麻酔学教室
pp.1567-1569
発行日 1966年11月20日
Published Date 1966/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204150
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.フランスの学会から
1962年のフランス留学から,はや4年の歳月が過ぎた.筆者は本年5月末,パリで開かれた「第1回フランス語による国際麻酔学会」に出席する目的で,横浜港からバイカル丸でナホトカ経由でヨーロッパに向かつた.ヨーロッパ,ことにパリへの郷愁,パリに住んだことのある者のみ知る,そこはかとないパリへの想いにとらわれ日本を発つた.
学会は,パリの凱旋門に近いPleyel Hallで6月3日,4日,5日,6日と開かれた.「フランス語による学会」なので,かなり参加者が限られるのではないかと思われたが,ヨーロッパはイギリス,ドイツ,スイス,イタリア,スペイン,ポルトガル,共産圏からソ連,ユーゴー,ハンガリアなど,アメリカ,その他メキシコなどかなりの参加国があり,開催国のフランスは大いに意気が上つたわけである.学会の主要テーマは「脳と麻酔」ということが一貫しており,これはフランスの神経生理の進歩を考えるとうなづけるが,ユニークな学会と思われた.開会式はパリ大学代表者も祝辞を述べ,他方,会長Kern教授,副会長Bauman教授はいずれもフランスでの麻酔学の地位を回顧し,これからの発展を願うという強い言葉を述べて喝釆を拍した.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.