レポート マンパワー(保健婦)の検討
論説
家庭奉仕員派遣事業に看護職の積極的な参加を
松川 リツ
1
,
菅原 良子
1
,
阪本 恵子
1
1新潟大学医療技術短期大学部看護学科
pp.528-537
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206144
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はじめに
家庭奉仕員派遣制度の源流は,1880年,スイスに始まったホーム-ヘルパー-サービスにあるといわれている。それが各国に広まったのは,今世紀に入ってからであり,わが国では1958年(昭和33年)に大阪市及びその他の自治体が奉仕員による訪問活動を行ったのが発端で,やがてその成果が評価されるようになり,1962年(昭和37年)に国庫補助事業となった。そして翌年には老人福祉法の制定に伴い老人家庭奉仕員制度として正式に法定化されたのである(老人福祉法第12条)。
現在,この制度には老人を対象とするほかに身体障害者(身体障害者福祉法第21条の3,昭和42年),心身障害児(厚生省発令第103号厚生事務事官通知,昭和45年)の各家庭奉仕員制度が加えられ,これらの事業を行う自治体も年次毎に増加してきている。奉仕員の連携も強まり,今日では全国的な自主組織をもつまでに至っている。奉仕員の活動内容(家庭奉仕員事業運営要綱,昭和44年)は,①家事介護に関すること,②相談助言に関すること,となっており,あくまで福祉活動としてのサービスを主眼としている。しかしわが国の現状では訪問対象の大半が精神・身体上なんらかの問題を有している人々であるため,実際場面では医学や看護に関することが少なくない。すなわち,家庭奉仕員の訪問対象は,福祉の側面からのサービスと同時に医療サイドからの援助を必要としている人々なのである。
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