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■要旨
青年海外協力隊を開発途上国へ派遣する事業において,青年海外協力隊看護職(以後,JOCVNs)のボランティア経験が帰国後の職場でどう活かされているかは十分に検証されていない。そこで本研究では,派遣中と派遣後のコミュニケーションスキルの内容を明らかにし,派遣中に習得したスキルの帰国後への影響について考察した。
対象者はJOCVNs帰国隊員(保健師,助産師,看護師)10人,全員女性で平均年齢は36.2歳,派遣前の職務経験年数は平均7年であった。これらに対して,インタビューガイドを用いた面接調査を実施した。
面接内容の逐語録から分析した結果,派遣中のJOCVNsのコミュニケーションスキルにはJOCVNsが意図した効果があり,“同僚や住民らと信頼関係を築く”“活動への理解を得る”“同僚に行動に移してもらう”という3側面が見出された。“同僚や住民らと信頼関係を築く”ための行動には【言葉にする】【感情を出す】【相手を知る】【態度で伝える】が挙げられた。“活動への理解を得る”ためには【自己主張する】【報告する】【他人を活用する】【柔軟に対応する】が挙げられた。“同僚に行動に移してもらう”ためには【やる気を引き出す】【別な方法を試す】【相手の立場に配慮する】といったコミュニケーションスキルが挙げられた。
派遣後のコミュニケーションスキルの特徴は,【率直に意思表示する】【相手の文化を尊重した関わりをする】【物事に対する柔軟な対応を図る】の3つに集約された。
以上により本研究では,JOCVNsが派遣中に得たコミュニケーションスキルは,派遣後のコミュニケーションスキルに影響を及ぼしており,国内の看護場面においても活用できると考えられた。
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