特集 母子保健と保健婦活動
調査報告
母乳栄養に対する母親の認識と実践について
大西 忍
1,2
,
阿曾 洋子
1
,
石井 みゑ子
1
,
大西 まち子
1
,
柴田 弘子
1
,
矢野 光代
1
,
谷口 浩子
1
,
中井 時子
1
,
平野 知津子
1
1神戸地域看護研究会
2神戸市生田保健所
pp.608-614
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205905
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I.はじめに
我国では,昭和30年頃より母乳栄養が減少し,人工栄養による哺育の増加傾向がみられた。これは,調整粉乳の進歩や,核家族化による母親の母乳哺育への無自覚や,美容上の誤解,そしてまた,母親の社会への進出の増加に起因するものが多い。母子衛生研究会の報告によると,人工栄養は,昭和34年には33.9%であったのが,昭和46年には67.3%と増加し,母乳栄養が減少の傾向にあることがわかる。近年再び,免疫学及び心理学的な立場から母乳栄養の必要性が強調されているとはいえ,一般的には,母親が十分認識しているとはいえない。
私達の日頃の業務においても,乳幼児クリニックに来所する母親から,母乳不足の原因を追求することなく,母乳がでなければミルクに,という安易な考え方にしばしば遭遇する。そして,これらのことは,私達に,母親の母乳栄養に対する認識のあいまいさや,母親への母乳栄養に対する知識の普及の低さが問題でないかと示唆した。
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