特集 実践交流から理論化へ—主体的保健婦活動論の組み立て 第8回自治体に働く保健婦のつどい集録
基礎講座
地域保健活動の基本と生活指導の実際
中沢 正夫
1
1群馬大学医学部
pp.543-551
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205749
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1976年元旦の朝のはなし
今年の元旦,私は仕事の打ち合せで西本さんの家へ行きました。そしたら西本さんが,だれかとでかい声でけんかしているのです。なにごとが始まったかと思い,戸をとんとんと叩き,5分間待ってから戸を開けてみた。男の患者さんが2人いて,西本さんが年賀状を書きながら,患者さんとやりあっている。その2人とも,その村の患者さんなので入って行って,「おめでとう」を言うより前に"働きかけ"が始まりました。「元旦早々,他人の家へきて何だ,常識しらず!!」と。考ええてみれば元旦早々は私も同じことですが。実はこの2人の患者は初もうでの途中らしく友達が外の車の中でいらいらしてクラクションをならしてせきたてているのです。
1人の患者は「今年は,とにかく結婚させてくれなきゃ困る」と西本さんに頼んでいる。私の方へも「今年は結婚させてくれてもいいだろう」とすごんでくる。工合がわるくなると"私が邪魔して結婚させない"という妄想が起こる患者です。もう1人の患者は,家具工場に勤めている。"今年から課長になってくれといわれて困っている。どうしたらいい"とその相談である。西本さんも私もコレは妄想だと思いました。"この不景気に冗談じゃない。他の精神障害者は,首きりにさらされているのに"というわけです。
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