特集 群馬県の総合保健活動
活動の実際—地域精神衛生活動
中沢 正夫
1
,
江熊 要一
1
1群馬大学医学部精神科
pp.98-102
発行日 1972年2月15日
Published Date 1972/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204423
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「群馬県における地域精神衛生活動」と一口にいっても,その活動の状況は地区により濃淡,凹凸がありけっして全県一様ではない.図1に示したものは,保健所別の精神障害者に対する訪問活動の状況(昭和44年)であるが,最も活発な伊勢崎保健所管内と最も動きの鈍い館林保健所管内では,訪問頻度にかくのごとき大きなひらきがあるのである.もちろん,全く精神衛生にとりくんでいない地区は群馬県にはない.図2に示すごとく,全国的にみても群馬県は,地域精神衛生活動の比較的活発な県の1つなのである.それにもかかわらず,全県的にほぼ同じペースで活動が行なわれないのは,そのスタートにおいて比較的少数の医師と保健婦の自主的,自覚的むすびつきが,中心的役割を果たしたためであろう.すなわちそのむすびつきの可能だった地区から蚕食的に発展していった歴史をもっているのである.そしてその発展の経過の中で最も当県に適した方式を模索するのに十分な時間を使っているのである.たとえば「精神障害者は原則として保健所保健婦が訪問を行なう」という国の方針について群馬県でも2,3の保健所で実行されたが活動が発展すればするほど不合理であることがわかり,現在では実践面で自治体保健婦とタイアップする必要にせまられているし,所により自治体保健婦の活動の比重の方がつよいのである.
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