特集 地域精神衛生活動と保健婦
第Ⅱ部・現地座談会
医師と保健婦のチームワーク—群馬県に聞く活動の実際
江熊 要一
1
,
中沢 正夫
1
,
杉村 一光
2
,
桂 アグリ
3
,
内堀 千代子
4
,
西本 多美江
5
,
田島 かづ江
6
,
手塚 ユキ
7
,
大手 謹子
8
,
小坂 英世
9
1群馬大学精神科
2伊勢崎保健所
3渋川診療所
4群馬県国保連合会
5群馬県東村役場
6群馬県境町役場
7伊勢崎保健所
8高崎保健所
9東京都精神衛生センター
pp.34-50
発行日 1967年11月10日
Published Date 1967/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204059
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境町でどんなことをやっているか
小坂 田島さんからまずどうですかね。ひじょうに目を輝やかしてやってるって話なんだけども,精神衛生活動やり出してから。どうしてですかね。
田島 そうですね,
ずっとその土地にいて地区の人と密着していると,病気になって仕事ができない,経済的にもおびやかされる,精神的にもおびやかされてくるでしょう。そういったものをみてて,早くなんとかしなきゃいけないってものをいつも持ってるわけです最初,私が群大に研修に行ったのは40年の7月,8月の2か月間です。その前から伊勢崎保健所で勉強会が1月1度ありましてそれにも出ました。1番最初大きな悩みだったというのは,私には1つ失敗例があるわけなんです。それはどういうのかといいますと,たまたま結核患者で訪問しましたときに,そこの家の患者が,入院費の支払いが困難のために退院しちゃって,訪問したときいたわけです。その時に突然興奮状態になって,「おかあさんがぼくの働いた金をみんな取りあげちゃって,一銭も小遣いくれなくて困る」ということを言ったわけです。その時おかあさんは,「お前が入院してたんで入院費で困っていまとりに来たのも断ってやったわけだ」,と,泣きながら患者に言うわけなんです。初めて興奮状態というのを訪問のときぶつかったんですけど,その時に目がすわって,顔面そう白で,すごい険悪状態になったわけなんです。
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