書評
—橋本正己—地域保健活動の動向と課題
姉崎 正平
1
1病院管理研究所
pp.382
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205619
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本書は,著者が1968(昭和43)年に刊行した"地域保健活動――公衆衛生と行政学の立場から"の続篇というべき著作である。これら2書を通じ,著者が意味する"保健"とは,単に予防医学を中心とした公衆衛生のみならず,治療医学を中心とした狭義の医療をも含んだ概念であり,これらが統合され効果的に実践されるための地域と,そこにおける具体的な活動計画の策定の必要が主張されている。
上掲の1968年に刊行された著作では,諸外国およびわが国の地域保健活動の歴史に重点が置かれ,それに近年における調査や事例とやや一般的な提言がつけ加えられている感じであった。しかし,その後,ここ数年間における高度成長政策の破綻,石油危機などによるわが国社会の大きな変化とそれの国民の健康への影響,それに対応して医療保険制度の抜本改革案,医療基本法案の登場,医療情報システムの開発,地域保健医療計画,保健所再編成の動きが活発化した。しかも,諸外国では地域保健医療計画がつくられ,実施されたり,地域保健医療計画に関する研究や政策が公表された。これらの事情が著者に再び筆をとらせ,前書に比し,より今日的視点と前向きの姿勢でつらぬかれた本書を公刊させたものと思われる。
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