へき地の保健婦活動 現場からの報告
往診の手伝いに追われる
畠山 とし子
1
1岩手県下閉伊郡田野畑村
pp.279-281
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205599
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宮古から車で1時間
私がこの村に来てから3年が過ぎようとしている。私は昭和47年3月に学院を卒業し,国保保健婦としてこの村に来たのである。
村の人口は約5,700人で岩手県の中でも開発の遅れている村である。47年に国道45号線が全線開通し,やっと村の中央から宮古市,久慈市に車で1時間で行けるようになった。数年前まではいわゆる陸の孤島であったらしい。東は北部陸中海岸に位置し,景勝地ではあるが生活するうえでは決して自然に恵まれているとはいえない。海岸線は断崖で,村全体が山である。平坦地が少ないため水田などはほんの少ししかない。村の人の3分の1は海岸に残り,3分の1は国道周辺に,そしてあと3分の1は山の奥に住んでいる。しかもこの村の特徴は,どこにも村の中心となるような住宅の集中している地区のないことである。村全体に人々が散在している。
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