連載 健康論・3
健康論(3)
中島 紀恵子
1
1千葉大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程
pp.226-230
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205591
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V.健康をみる方法
1.基本的な考え方
個々人が健康状態を知りたい場合のことを考えてみると,結局それは,"健康が損われていないだろうか","損われているとすれば軽いか重いか"を知り,それに対して,しかるべく処置がとられてほしいという極めて現実的な欲求に基づいている場合が多い。医療が行なわれる場において,個々人の健康状態を知る必要のある場合は,健康維持の立場からよりはむしろ,健康が侵されている人の状態,つまり患者の異常な状態を正確に把握することが重要になる。患者の異常な状態を正確に判断することは,正しい治療や看護をするのに欠かせないことである。しかしその判断ないし看護場面における診断のために,時間がかかりすぎて病態が悪化したり死亡したりしては,病人にとって大問題である。このように判断は,いつも何らかの対処という行動がひかえている状態の中で行なわれるのである。もし健康状態というものが固定した状態のものであれば,判断するためのものさしは,単一のものさしとはいかないまでも,比較的少なくてすむ。しかし,健康に固定した状態などはないから,数多くのものさしを用意しておかないと,測定することはできない。しかし多くのものさしが用いられるといかに判断するか,判断をどのように理解するかということが新たな問題となる。
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