連載 健康論・5
健康論(5)
中島 紀恵子
1
1千葉大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程
pp.366-371
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205617
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
V.健康を守るための方法
人間は自から創り創られた社会関係の範囲において,健康を保持するために,健康を阻害する諸因子を取り除く努力をする。しかしながらその社会関係において,健康の価値を人権につなげて考える力がまだ十分に育っていない場合は,国策や,利潤追求のために都合がよいように健康の基準は操作される。
私はこれまで,正常・異常,適応の問題を通して,人間生体の持つ健康の幅は,相当範囲に柔軟であり,そのために人間は,自他共に生命の許容限界点に向けて危険なかけをするということを述べてきた。もちろん,看護に依拠する立場に立つ者として当然のことだが,個人の心理,意識,あるいは社会の問題の中心にあって,両者を媒介する人間生体に焦点を当てて考えてきたつもりである。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.