食と保健指導
公衆衛生学の盲点—地域小集団における保健指導の評価尺度(2)
豊川 裕之
1
1東京大学・医学部保健学科疫学教室
pp.668-672
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205354
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前号において地域小集団の健康水準を評価する方法が欠如していることを述べ,それが主たる原因となって,保健婦の活動の成果を十分に評価しえないことを述べてきた。そしてその具体的な例として,保健指導によって死亡率が減ったら,その保健指導がうまくいったのだという考え方で評価することは地域小集団ではできないことを説明した。死亡率で評価できる集団の人口規模はおおよそ1つの保健所の管轄地区ほどの大きさが必要なので――場合によっては人口3〜4万でも可能ではあるが,統計処理上やはり10万ぐらいの大きさがあるほうが望ましい――1人のあるいは2〜3人の保健婦がモデル地区を設定してアプローチするような小人口数の対象地区では偶然の死亡例によって評価の結果が振り回わされるから,死亡率で保健指導の成果を判定することは好ましくないわけである。そうかといって,1人の主観的な評価1)で"以前より健康になった"とか"高血圧者が減った"というのも科学的ではないことも述べた。
では今回は,他の3つの評価方法について問題点を説明しよう。
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