実態をさぐる
人類の危機—ローマークラブ報告より
pp.362-366
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205289
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豊かな社会の陰に
近年における科学技術の急速な進歩は,豊かな社会,日常生活の向上に多大な貢献をしてきたと同時に,その背後に副産物としてのいくつかの深刻な不調和を生みだしてきた。これらは,核戦力のエスカレーション,爆発的な人口増加,地球全体に広がる環境汚染,天然資源の枯渇などであって,このままの状態で推移するならば,この豊かさへの指向は,必ずしも人類の幸福に結びつくものではなく,むしろ人類の生存そのものを脅かすものと考えられる。
このような人類の危機の接近に対し,人類として可能な回避の道を探索することを目的として,1970年3月,ローマークラブが設立された。最近の会合がローマで開かれたことにちなみ,ローマークラブと名づけられたもので,メンバーは世界各国の科学者,経済学者,教育学者,経営者などである。ここに紹介する報告"The Limits to Growth"は,このローマークラブの第1段階の研究成果である。
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