今月の表紙
「ローマ時代の解剖学」
本田 一二
1
1毎日新聞社〈大阪〉学芸部
pp.572
発行日 1966年4月10日
Published Date 1966/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201279
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イタリアのナポリ国立博物館は,古代都市ポンペイの発掘品を多く収蔵していることで名高い。2階の大広間に,1900年の昔,ポンペイ市民の家をかざつていたモザイクが,展示されている。その中に人体の骨格をあらわした,かわいらしいモザイクがあつた。このモザイクから,当時の解剖学を,多少なりともうかがうことができて,ほほえましい。
20OO年前といえば,すでにギリシャのアテネは衰えて,医学の中心地は,エジプトのアレキサンドリアを経て,ローマへ移つていた。アレキサンドリア医学では,ヘロヒロスらが盛んに人体解剖を行ない,罪人を生体解剖したこともあるという。しかし,ローマ時代になると,古代医学の巨人といわれるガレノスも,人体解剖はほとんどしなかつたようである。サル,クマ,ブタ,鳥類,魚類,ヘビなどのほか,象を1度解剖したと伝えられている。ことにサルの構造を人体にあてはめたらしい。
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