特集 結核患者訪問は機能しているか
外来治療と入院治療
木野 智慧光
1
1結核予防会結研付属療養所
pp.40-45
発行日 1972年11月10日
Published Date 1972/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205173
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はじめに
長年結核治療の中心をなしてきた大気,安静,栄養を基盤とする入院安静療法—いわゆる療養所療法—は化学療法の登場によって大きく変化した。化学療法の進歩とともに安静の治療的価値は著しく低下し,療養所は安静の場所というより,適切な医学的管理のもとに化学療法や外科療法を行なうに適した場所と考えられるようになった。もちろん現在でも感染源の隔離の必要性が失われたわけではなく,また安静が全く不要になったというわけでもないが,有効かつ強力な化学療法が開始されると,大部分の患者で数か月のうちに排菌は止まり,病状も安定するので,治療上も隔離という意味でも入院期間は著しく短縮された。
アメリカのNational Tuberculosis and Respiratory Disease Association――結核および呼吸器疾患協会――の特別委員会は"1970年代の結核医療の基準"と題する声明を発表しているが,そのなかの入院治療と外来治療に関する部分をみると,結核患者の治療は本来外来で行なうのがたてまえで,入院は特殊の場合に限るべきである。また入院させても,なるべく短期間で退院させることが望ましい,とされている。
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