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シンポジウム 精神分裂病者の治療について—東京都精神医学総合研究所,第5回シンポジウムから
入院治療
Treatment of Schizophrenic Patients in a Mental Hospital
吉松 和哉
1
Kazuya Yoshimatsu
1
1東京都精神医学総合研究所
1Psychiatric Research Institute of Tokyo
pp.1048-1055
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202828
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I.はじめに
精神分裂病者の入院治療については論ずべきことが数多くある。しかしここではいくつかの間題にしぼって考察することにしたい。ただその前に,日本における精神病床数がその必要度に対しほぼ十分の数に達しているにも拘らず,地域的偏在や病院間の機能分担と相互連繋がほとんどなされていないこと,また特に日本の精神病院のもつ内容的問題点,例えば患者の個別性やプライバシーが空間的にも心理的にも尊重されなさ過ぎること,更に入院治療の適応およびその長所と短所を十分把える必要のあることなど,いくつかの事柄を指摘しておきたい。
ところで入院治療は外来治療,社会復帰活動など地域に密着した包括的な精神医療の中の一部を占めており,その内容として薬物療法から個人精神療法,集団療法,作業療法など多岐にわたる活動を含んでいる。Bullard1)はいわゆる治療以外の病院サービス活動のリストとして実に27項目を挙げているが,結局“atrophy of disuse”の予防こそ,その病気に対する直接的治療と同様に,病院活動の中心であると述べている。このことを十分承知したうえで,以下筆者の臨床経験の範囲内で強く印象的に感じた事柄をいくつか取り上げて論じたいと思う。
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