研究・調査・報告
母子保健指導に関する2,3の考察—某地域の自然流産経験者の調査から
野原 三洋子
1
1順天堂大学体育学部公衆衛生学教室
pp.48-54
発行日 1972年1月10日
Published Date 1972/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205018
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はじめに
妊娠歴を経時的にとらえ,一つ一つの妊娠がどのような分娩結果に終わったか,その異なった分娩結果をもたらした過程と,それを取り巻く要因を分析することは,母子保健問題を考えていくうえで重要である。この考えのうえに立って,香川県の某町において母子保健調査活動を行ない,妊娠・分娩がもたらした各種の発生事象について,その信ぴょう性(誤差についての検討を含む),事象を発生させた要因の分析,母親(その妊娠・分娩を経験した)の意識調査などの検討を行なってきた。ここでは,自然流産経験者への面接調査から,自然流産にいたるまでの過程や,自然流産の発生に関連のある要因についての分析を試みた。
流産とは,妊娠持続期間別にみた分娩の分類により,妊娠初期から妊娠第28週(妊娠7か月末)までの分娩をいう。死産とは生産に対応するものとして,医学的には,妊娠月数に関係なく,出産時に胎児が死亡している場合のすべての分娩をいう。わが国では,法律で,妊娠第4か月以降における死児の出産を死産とし,医師または助産婦の届出の義務を厚生省令で規定しているため,妊娠4か月以降の自然流産の数はほぼ把握されているわけである。
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