特集 母と子をまもる保健婦
家族のなかの子供
働いている婦人の育児
児玉 省
1
1日本女子大
pp.97-100
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201874
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編集から与えられたこの課題は,非常に大きい問題である.子供の年齢は何歳であるか? 子供の数は? 祖父母があるのか? その他誰れか世話をする人があるのか? 働いている婦人は,共稼ぎであるか? または未亡人などのように独身であるのか? 住んでいるところの隣近所の人はどういう人たちであるか? 子供自身はどういう性質の子供であるか? などの多くの複雑な条件が入つてくるのであつて,これらの条件――とくにどういう子供であるか――がちがうによつて,答えは一応ではない.これらの条件を全部並べたてて考えてみるなどということは,与えられた紙数ではできることではないし,またどう答えていいか分らない問題も多い.それでも筆者はこの課題を引きうけることはした.そのわけは,この課題によく解答を与えることはできないにしても,この問題はだまつて放つておくことのできない重大問題であるからである.
筆者は2〜3年前,東京の共稼ぎの家庭を27,その子供39名(その3分の2が4歳から小学生,残りが中,高校生)を調べたことがあるが,本文の課題の問題を具体的にするために,その研究から明かにせられた事実の主なものを抜すいしてみる.なお調査の対象となつた家庭の父親は,会社員,公務員,教師,医師など.母親は教師,会社員,公務員,医師,アナウンサー,雑誌記者などでいずれも大学または専門学校出の知識階級の家庭であつた.
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