特集 民間療法と保健指導
どこまで続く泥濘ぞ—医療迷信の系譜
石垣 純二
pp.23-25
発行日 1969年6月10日
Published Date 1969/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204442
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金語楼とウラン鉱石
昨日,大法輪という雑誌が届いた。いかにも信心者のようだが,じつはお前の好きな寺と和尚さんを書け,とエッセイの依頼があり,臆面もなく駄文を送ったら掲載誌が送りかえされてきたのである。
その中に柳家金語楼氏が大阪市内の某寺の94歳の住職を書いていられた。この坊さんは妙な趣味があり,ガイガーカウンターと金槌を持って山に入り,ウラニウム石を砕いて持って帰り,それを水中に入れて水をのんだり,それで目を洗ったりなさるのだそうである。別にウラン鉱山で当ててやろうなどという山師ではない。金語楼さんもその石ころをもらって帰り,わが家で用いたところ,「仲々よろしいコトは確かである」そうな。金語楼さんのことだから,きっとウラン水で目でなくてもっと下のほうを洗って霊験をたしかめたにそういない。
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