特集 主婦の健康管理
総合検診のなかでの主婦の検診
一ノ渡 義己
1
1宮城県衛生部公衆衛生課
pp.39-43
発行日 1969年2月10日
Published Date 1969/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204379
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.総合検診
「総合検診」という言葉がいつ頃から,誰によって使われはじめたか私は知らないが,従来の結核検診,高血圧検診といった単一な疾患の発見を目的とした検診に対して,いろいろな検診を同時に行なって,総合的に診断するという事を指しているらしい。たしかに従来の検診は同一人に対し時期をちがえていろいろな検診を実施し,それぞれの疾患の発見に有力な手がかりとなったが,考えてみると,受診する側にとっては厄介極りないことである。役場や,保健所の都合で日取りが決まり,個人の都合はほとんど無視され,その後の事後処置についても矛盾した指導が平気で行なわれた。病気は病気としてあるのでなくて,病気の人間が,病気になろうとしている人間がそこにいるのであり,それぞれの疾患は複雑にからみ合って存在する。「あなたは健康です」と結核検診でいわれた人が翌日寄生虫保有者であると診断されるというような事が現実に行なわれている。また伝染病発見の手段として患者および保菌者の検索を目的にして行なわれた急性伝染病の集団検診が,病態が根本的に異なる慢性疾患にも応用され,発見した後の管理が不十分なため,虻蜂取らずになり,検診そのものの価値さえ疑われるようになってしまっている。社会防衛的な色彩の濃い急性伝染病対策と,自己防衛的な慢性病対策とでは根本的に方法を変えなければならない。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.