発言席
主婦と飲酒
渡辺 登
1
1駿河台日本大学病院精神神経科
pp.443
発行日 1990年6月10日
Published Date 1990/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900070
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わが国の飲酒人口は,1987年では約5289万人にも及んでおり,大量飲酒者は約216万人と推計されております。なかでも注目されているのが女性飲酒者の急増であり,またキッチンドリンカーと呼ばれる主婦のアルコール依存症の増加です。
私は,アルコール依存症の前段階ともいえる常習飲酒する主婦の実態を調査し,幼年期の親との別離体験が空虚感と結びつき,飲酒によって束の間の満足を得ようとし連日飲酒するに至った可能性を,かつて指摘したことがあります。ところが,こうした常習飲酒する主婦の精神健康が良好なのか不良なのかに関する検討はなく,また飲酒が精神健康とどのようなかかわりあいにあるのかも明らかではありません。そこで,一般健康調査質問紙を用いて,飲酒婦人の精神健康をこの度調査しましたのでご紹介いたします。
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