講座
テレビと主婦
桜井 恒次
1
1東京世論研究所
pp.54-57
発行日 1960年4月10日
Published Date 1960/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202073
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"白痴化"等と一部非難の声はあるとしても,テレビの普及率は高まる一方であり,テレビを無視することは,とても出来ない状態になつている.保健婦にとつてもテレビによる影響,テレビの利用等の問題を考えないで仕事をすることは不可能になりつつある.テレビは日本の家庭をどのように変えつつあるか一世論調査研究所の桜井氏に伺つてみよう.
「テレビの受像機を家に置くようになつてから,子供はもちろん主人もテレビの前にへばりつくし,音がやかましいし,早く故障してくれたらと思つていました.ところが幸い(?)故障したのです.さあこれで当分一安心と思いましたが,その日から家庭の中が妙に落着かない感じなのです.家の中に空洞が出来た感じで,丁度家族の一員が病気して寝こんでいるような状態なのです.その内に受像機がなおつて,映像が入り始めると妙に安定感が出て来るのです.病気だつた家族の者が元気になつて家中を飛び廻つているように…この時テレビは私の家ではもう家族の一員になりきつているのだとつくづく感じました」—
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