保健婦さんへ 期待と提言
産業保健婦
外山 敏夫
1
1慶応大学医学部衛生学
pp.9
発行日 1968年12月10日
Published Date 1968/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204338
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来年の秋,昭和44年9月に東京において日本で始めての第16回国際労働衛生会議が開催される。過去数回の欧米におけるこの学会には産業保健婦による分科会が存在し,この分野における一つの権威を構成している。この学会には世界の主要国から多数の常任幹事が選出されており,労働衛生,職業病等の斯界の権威者を網羅しているのであるが,他の学会と同じく幹部が主として男性の学者によって占められている中で,英国から5人,米国から7人もの産業保健婦代表が選出されていることに注意しなければならない。この人たちはいずれも登録看護婦(R. N.)であり,職業病や労働衛生の専門教育を経た職業的産業保健婦なのである。専門教育は保健婦学校の時の特別コースや,産業医局における実務研修やさらに公衆衛生大学院学校における高等教育などの経験をもっている。
さて来年の国際学会において,これら欧米諸国の産業保健婦の団体から,専門部会のプログラム組入れを担当国の日本に要請してきているようであるが,肝腎の日本に産業保健婦という専門職種は存在しないし,独自の協会などもない。苦肉の策で戦後,労働基準法とともに誕生した事業場で選任されている医師に非ざる衛生管理者をこれと対比させようとするむきがあると聞いている。
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