特集 慢性疾患の新しい理解
慢性疲労
秋月 源二
1
1秋月医院
pp.26-28
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204311
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疲労と慢性疲労の定義
これらの言葉は日常語であるとともに医学用語でもあり,誰にでもよく使われるわかり切った言葉である。肉体的・精神的作業をある程度以上つづけていると,作業能力が低下してくる。この状態を疲労という。しばらく休息すると,もとの状態に戻る。したがって疲労は病的な状態ではなく,生物のもっている一種の安全弁である。疲労が恢復しないうちに作業がおこなわれると,疲労が蓄積されて,慢性疲労,蓄積疲労するには過労といわれる状態になり,こんどは短時間の休息では恢復できなくなる。どれだけ作業をすればどれだけ疲労するか,その程度には個人差があって各人すべて違っている。
疲労の本態はまだ不明の点が多い。疲労物質,たとえば乳酸やクレアチニンなどが蓄積されているほか,温度上昇やグリコーゲンの減少などの物理的変化も伴っていると考えられる。
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