特集 慢性疾患の新しい理解
呼吸器障害
田村 昌士
1
1虎ノ門病院呼吸器科
pp.29-32
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204312
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戦前は慢性呼吸器疾患といえば,肺結核をまず念頭に浮かべるほど肺結核の占める位置が大きかったが,終戦後その様相は一変し,医学における診断,予防および治療の急速な進歩にともない,非結核性呼吸器疾患が注目されるようになってきた。また一方においてはじん肺やこんにゃく喘息等というような職業病,東京横浜喘息や,四日市喘息等のような大気汚染性呼吸器疾患が社会的にも重要な問題としてとりあげられ,その予防および治療について検討されている。また慢性呼吸器疾患患者の社会復帰を目標としたリハビリテーションについて最近ようやく実施され始め,成果をあげている。このように慢性呼吸器疾患に対する認識がたかまるにしたがい,保健医療にたずさわる者はさらに一層これら疾患を正しく理解し,患者に対し適正な療養指導ができることが望まれるわけである。本稿では紙数の都合もあるので,2,3の非結核性呼吸器疾患に限定してその概略についてのべてみたい。
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