特集 組織づくりと保健婦活動
地域組織活動と保健婦の役割
田中 恒男
1
1東大医学部
pp.16-20
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204183
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1.地区組織活動と保健婦
地区活動が好むと好まざるとにかかわらず,保健婦の業務内容にとり入れられ地区衛生組織を対象とした活動なり,あるいはその育成なりの仕事が,保健婦に要請されるようになってすでに久しい。この論考に当ってその事の是非を問う前に,わが国で地区衛生組織活動が,どのように理解され展開されてきたか,考えてみる必要があろう。
地域保健とよばれる活動がその主体を地域社会におくという本来の思想はわが国の歴史的風土の中に,実体として十分育ち得なかった(あるいは育ちにくかった)事情については,すでに詳述したことがある1)2)。そしてまた,それにつれてコミュニティ・オーガニゼーションとよばれる方法も,実際場面では,しばしば行政の下部機構の育成という形態においてのみ理解される(意識的・無意識的に)傾向にあることも,多くの識者の指摘するところである。そして,こうした西欧やアメリカで一応成長してきた思想や方法が,なぜわが国では十分受け入れられなかったかについての考察は,いろいろ説明されてきた。
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