特集 今求められる結核対策(1)—知っておきたい結核の基礎知識
結核対策における保健婦の役割—保健婦活動の変遷
小林 典子
1
1結核予防会結核研究所対策支援部保健看護学科
pp.486-490
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902205
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「結核研修で何を学びたいか」の問いに対して一番多い答えは「結核の基礎知識」である。昨今,看護基礎教育や保健婦教育のなかでの結核に関する教育の不十分さが指摘されているが,結核の基礎知識不足から感染症としての保健指導に自信がないと回答する保健婦が増えている。結核の低蔓延に伴い特定集団に患者の発生が偏在化し,保健婦が持ち寄る事例はどれも対応が難しく,一筋縄ではいかない患者または集団となった。表1の通り,厚生省から時代に即した対策の改正が進められているが,事例を見る限り,それらが十分患者に還元されているとは言い難い。
結核に関わる保健婦の業務体制も変わってきた。昨年の当研究所短期保健婦研修の参加者で保健所に勤務する187人に所内の業務体制を聞いたところ,業務担当制と答えた者66人(35%),業務担当制と地区担当制の混合型101人(54%),地区担当制14人(7%),その他6人(4%)であった。混合型の多くは,業務担当制に移行する過程での措置と答えたものが多かったことを考えると,今後,業務担当制の割合は増えてくると思われる。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.