保健婦さんへ 期待と提言
救急医療と保健婦の役割
田中 恒男
1
1東大医学部保健学科
pp.9
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204217
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不りょの事故という,あってはならないはずの死因が,この10年来急速に問題化している。この不自然な現象は,いろいろな理由から成りたつものだが,その一つに不りょの事故の発生後,急速を要する医療が,十分にうけられないという社会的な欠陥も指摘できることと思う。すなわち救急医療体制の不備である。その欠陥は,単に運搬手段の不足だけでなく,救急医の不足にもおよんでいる。たとえば,本来救急医療といったときには,まず死亡を救い,重症化を防止する目的をもつのだから,死亡原因として一番予測される頭部外傷に対する医療設備・専門医の充足がのぞまれるのに,それに対する施策はきわめて不満足な状態である。設備は何とかなるにしても,専門医の不足は如何ともしがたい。国家的な施策がのぞまれるところである。
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