八丈の島から
第9回 島の母子衛生 その1
小笠原 登志子
1
,
明神 兎亀子
1
,
膳亀 和子
1
,
古川 千寿子
1
,
八代 悠紀子
1
1町立八丈病院
pp.66-67
発行日 1968年4月10日
Published Date 1968/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204179
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再び春!!
気象庁八丈島測候所調べによる八丈島の「生物季節」,つまり,花や木や,鳥や虫が測候所近辺でその年初めて観察された日付,をみると,例年,たんぽぽは1月はじめ,すみれが2月はじめ,柳の芽吹きが2月のおわり,水仙が12月のはじめ,うぐいすの初鳴きが1月なかば,つばめが飛んでくるのが3月はじめ…。私たちが家庭訪問の道でみつけたのは,赤い構が11月なかば,房咲きの水仙が11月のおわり,すみれが12月のはじめ,そして今は,朝ごとにうぐいすの声。季節の訪れの早い島とはいえ満ちてくる春の気配に,われわれも落ち着いていられなくなる。
東京から291キロ,伊豆七島の南の端に国保の病院が,37床と3科の外来をもってスタートしてから間もなく2年,私たちが5人でチームを組んでの活動を開始してから1年。私たちの保健婦助産婦学院における先生である院長(日本医科大学衛生学教室,乗木教授)の,「自分達の思う通りに動いてみなさい」という一言に病院開設と同時に着任した2人は,この春東京へひきあげ,1年遅れてやって来た3人は2年目を迎える。今まで多くの場合,臨床から切り離して考えられてきた公衆衛生を臨床と密着させ,従来,病人のためだけの存在でしかなかった病院を,地区の健康の文字通りのセンターとする。
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