八丈の島から
第7回 秋ともなれば……
小笠原 登志子
1
,
明神 兎亀子
1
,
膳亀 和子
1
,
古川 千寿子
1
,
八代 悠紀子
1
1町立八丈病院
pp.48-49
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204077
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□われに返る季節□
真赤なハイビスカスの花は少しも衰えを見せず,日毎に新しく咲き続けているけれど,出そろったススキの穂はすでにほうけて,高い空を渡る秋風に綿毛の種子を散らす。
毎日入港していた船が隔日に,それも台風のニュースの度に欠航勝ちとなり,日に5便飛んでいた飛行機も3便にもどって,夏の終りを確定的にした。最盛期には島の人口を2倍に膨れあがらせた観光客も,8月の半ばを過ぎると潮がひくように少なくなって,港に,船の出入りの度にできた華やかな色彩と騒音の長蛇の列が,まるでひと時の幻のように思われる。
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