第25回日本公衆衛生学会パネルディスカッション
明確な訪問計画と指導目標を
板橋 登美
pp.42-45
発行日 1968年4月10日
Published Date 1968/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204170
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
この事例を拝見したとき,たいへんだなと思いました。なぜかと申しますと,私の従事している児童相談業務では,取り扱い対象の死は,自殺のような突然おこる以外には,ありえないことで,あるいは親がお亡くなりになったあと,子どもの養育をどうするかというような,死のあとの問題としてしか起こってこなかったものですから,この事例を拝見したときに,非常につよいおどろきを感じました。B医師が予後は1年ないし1年半と言っておりますので,この限られた時間をいかにつかうかということとやがて来る死をどう受けとめるかということが,この家族の保健指導の困難さを条件づけている中心点だと気がつきました。この事例の紹介者に限らずほとんどの私の存じあげている保健婦さんは,保健指導の知識の体系をもち,仕事にたいする熱意を旺盛にもっておられるのでありますが,その知識と誠意をさらに効果的に生かすためには,問題のとらえ方,目標の設定,目標達成のための具体的指導計画について,人間の問題を取り扱う臨接領域としてのケースワークの方法が,ご参考になるかと思いますので,私の考えを述べさせていただきます。
ケースワークでは問題のとらえ方を,2つの過程に分け,社会調査と社会診断と申しております。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.