特集 思わず膝打つ「現場の工夫」
➄作業療法 わかりやすいメニューを提示し目標を明確にする
阿部 哲敬
1
,
吉田 久美
1
1あさかホスピタル
pp.38-41
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100076
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何のための作業療法?
精神科作業療法(以下、作業療法)に参加している当事者の中から、こんな声が聞こえてきました。「作業療法は子どもっぽい」「手工芸が治療に役立つのか?」「ただ作品を作ればいいんだろう?」。さまざまなメニューがあるにもかかわらず、馴染みの作業ばかりを繰り返す当事者の姿が目立ち、本来“治療”を目的にしているはずの作業療法が、いつしか形骸化している状況がありました。
私たちは当事者にアンケートをとって、その人の「参加目的」と、実際に行なっている作業療法の治療目的とが一致しているかを調べたところ、「一致している」が45%、「一致していない」が41%(「無回答」が14%)でした。次に「希望する作業療法のメニュー(種類)」を聞いたところ、ほとんどの当事者が過去に自分が経験したものをあげました。
そんな状況を変えるには、当事者に、作業療法室で提供が可能なすべての作業活動を知ってもらい、同時にその作業を行なうことによって得られる効果についても理解してもらう必要があると考えました。そうすれば利用者の参加目的と治療目的が一致すると思われましたし、当事者の興味の幅も拡大できる可能性があると思われたからです。
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