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Ⅰ.はじめに
平成元年に行われた理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の改訂によって登場してきたのが「理学療法概論」である.このほかに「リハビリテーション概論」と「病理学概論」があるが,われわれにとっては「理学療法概論」,「リハビリテーション概論」が理学療法士養成教育上二大概論ということができる.
さて,「概論」とはどのような意味をもつかというと,広辞苑(岩波書店)には「全体にわたって大要を述べたもの」とある.また,金田一京助らによる新明解国語辞典(三省堂)には「その学問の輪郭と研究法の大体を説いたもの」となっている.つまり,「概論」はいろいろな論(学問)に用いられ,導入と全体把握という重要な役割を果たす,あるいは果たさなければならないものなのである.
ところで,理学療法士であるということは,理学療法を駆使してリハビリテーション医療チームの一員として力を発揮したり,理学療法を福祉の場で生かして貢献したり,また,理学療法士養成教育に関わったり,そして,理学療法学の研究活動に身を置くというように様々な分野で活躍しているが,その根底には理学療法あるいは理学療法学が存在する.
だからこそ,理学療法専門科目の事始めに「理学療法概論」(理学療法学概論であるべきだったと思う)がもち込まれたと考える.
そして,この教授に携わること6年.学生にいかに興味をもたせ,また正しい知識を植えつけると同時に,リハビリテーション医学やその他の医学との関連を柔軟にとらえられる態度の育成を図らなければならない.課題をまっとうさせることは至難であり,そのうえ歴史的にも新しく経験は十分とはいえないが,諸賢からのご指導を期待して報告する.
なお,指導要領による「総論」の部分についてのみ述べることを断っておく.
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