健康な食品と食中毒

農村の生活環境と健康な食生活

　経済の高度成長に伴って，農家の所得水準，消費水準も向上したことは確かである。食費をみても年々高くなっているのは当然で，しかし，これが直ちに食生活の向上とみることはできないのが農村の現状である。これは，農林省の調査によってみても，栄養偏重や低体位の増加などから明らかである。

　この原因の主なものは，主婦農業の激増による家事時間の短縮から，食生活に対する配慮をつくすゆとりがなくなったこと，および，消費攻勢にあおられて即席食品は急激に増加した一方，これらの使い方，活かしかたが徹底せぬための食事の貧困などがあげられる。また生活環境は，所得水準，消費水準に伴っては向上せず，上下水道や購買施設の普及の遅れや，共同炊事，共同購入などのさいの衛生的処理の不備または，指導者の不足などから，必ずしも衛生的処置が行き届いているとはいえぬ状態である。