調査研究
乳幼児の保育実態 その1—職業をもつ母親と家庭にいる母親の保育についての比較
木下 安子
1
,
清水 嘉与子
2
,
湯浅 玖子
3
,
羽室 俊子
3
,
宮地 文子
3
,
三沢 貞子
3
1東京大学医学部保健学科
2関東逓信病院健康管理科
3愛育研究所保健指導部
pp.49-56
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203738
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はじめに
近年,技術革新による産業構造の変化に伴ない,全労働者中女子の占める割合が急激な増加を示し,また既婚者の就業率が漸増してきている。こうした傾向は日本のみならず世界的にみられて,おそらく今後も続くであろう。
このように婦人,ことに家政担当者であり,かつ育児の責任を持つ主婦層が職場に出て労働に従事する機会が増大してきたことは,社会にあらたな問題を提供することになる。すなわち家事労働や育児の負担の軽減をはかるための社会的援助,なかでも育児に対する社会的施設,公共的サービスの充実の必要性が増し,その解決をせまられているのである。しかし現実には社会的施設はきわめて不足し,その解決はまったく個人的努力によっているといっても過言でないほど対策は立ちおくれている。また,労働条件にしても育児時間について考慮されているとはいいがたい。このような諸条件下で,主婦の職業生活に伴ない家庭生活の時間構造が,どのような影響を受けているかについての調査,研究はまだ数少ない。
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