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目的
本研究は家庭で実施される初経教育の実態を明らかにすることが目的である。具体的には母親が初経教育を実施するにあたり何を参考にしたのか、困難と感じたところの解決方法を明らかにする。特に、家庭での初経教育に本・インターネットや学校からの説明やお知らせがどれくらい活用されているのかに着目した。
対象と方法
研究デザインは自記式の質問紙の郵送による調査研究であり、研究対象はN市の6つの小学校の4.5.6年生の女児をもつ母親300名とした。N市の教育委員会を通して、6つの小学校の校長へ研究の主旨を説明し同意が得られた後に、調査依頼者用の調査依頼文書、質問紙と返信封筒を手渡し、担任から女児のみに配布して母親に渡すよう説明を依頼した。記入済みの質問紙は対象者に直接投函してもらった。分析では、各調査項目の単純集計を行なった後、定性的データはFisher's exact test、定量的データはMann-WhitneyのU検定を用いて既に初経教育を実施した母親(実施群)とまだ実施していない母親(未実施群)の比較を行った。統計学的有意水準は5%とした。本研究は日本赤十字秋田看護大学研究倫理審査委員会の承認(承認番号25-226)を得て行なった。
結果
分析対象者は118名であり、実施群は43名、未実施群は75名であった。家庭での初経教育内容で最も多いのは「手当ての方法」(89.3%)であった。母親が初経教育を実施するにあたり最も参考にした・することは「自分の体験」(65.8%)であり、次いで「母親同士、自分の母親、姉妹との情報交換」(46.8%)であった。また、母親が初経教育を実施するにあたり困難と感じた・感じるところで最も多いのは「初経教育内容の選定」(43.8%)であった。困難と感じた・感じるところの解決方法で最も多いのは「母親同士で話し合ったり、自分の母親、姉妹に相談」(56.7%)であり、次いで「本・インターネットで調べた」(27.9%)、「学校からのお知らせを参考にした」(18.2%)の順であった。困難と感じた・感じるところの解決方法の群別比較では、未実施群の方が「母親同士で話し合ったり、自分の母親、姉妹に相談」を選ぶ割合が高かった(p<0.05)。
結論
1.母親は「自分の体験」をもとに初経教育に取り組んでいた。
2.母親が初経教育を行う際に困難を感じた場合の解決方法は身近な人への相談が多く、「本・インターネット」「学校からのお知らせ」ともに活用されているとは言えない。
3.学校と母親との連携は図れているとはみなせない。
4.学校を通じた保護者の知識向上のための支援を行うなど、サポート体制の多様化を図っていくことが望ましい。
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