社会の窓
底辺の人びと
野口 肇
pp.64
発行日 1966年7月10日
Published Date 1966/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203702
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日本の最底辺ではたらく人たちとして,東京では山谷,大阪では釜ケ崎の住居があります。かれらは1泊100円の木賃宿に夜ごとのネグラをもとめ,朝はやく私設職安のトラックで作業所にはこばれます。この私設職安はゴロツキで,公然と大幅なピンハネをします。横浜や大阪の港で俗にいう風太郎もほぼどうようです.夏など街頭でゴロ寝するのです.
まだあります.全国の都市,農村いたるところにあるいわゆるエタや朝鮮人の集落がそれです.ここの住民たちは一般に粗暴で犯罪の巣とみなされ,ひどい軽べつと偏見を浴びています.かれらはバタ屋や皮革業屠殺業など賎業につき,その子弟はまともな入学,就職,結婚の道をとざされています.こうした部落民が粗暴といわれる理由は,世間の白眼にたいして一種の自己防衛の集落をつくって団結するからです.
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