特集 中小病院とその看護
ルポルタージュ
底辺からの向上を—ある看護指導者の日記から
本誌編集室
pp.29-33
発行日 1969年8月1日
Published Date 1969/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914564
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現在,人間中心の看護が説かれ,またそのために,医師に従属する手足としてだけでない,独自の看護領域の追求が絶えず努力されるようになってきた。すでにそうした試みを,たんに机上の理論としてでなく,対患者関係の具体的な看護場面に実践化しつつある施設も数多いことであろう。これは看護婦ことって,また何よりも患名にとってうれしい方向であるのはいうまでもないことで,より一層そうした努力,理想へより近づくための研鑚が惜しまれてはならないだろう。
しかし一方,そうした理想を追求しうる条件を備えている施設は,まだまだエリート的な存在ともいえる。カーデックスを使用し,精神看護を云々できる世界の一方に,そうした条件を全くもてずにいる,いわば後進的な看護の分野が,ボーダーラインとして数多く存在することも忘れてはなるまい。その実態がどのようなものであり,またそこで働く多くの准看護婦や見習いさんたちにとって何が望まれているのかということを,なによりもまず,より恵まれた条件下にある看護婦こそ知るべきであるように思う。そのために何がしかの問題提起になればという願いが,これからここにAさんの手記をお届けするゆえんである。
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