特集 結核保健指導の再検討
座談会
事故退院患者を治療の場にもどすには
斎藤 みどり
1
,
谷口 智子
2
,
丸毛 静香
3
,
上段 民恵
4
,
松野 かほる
5
1東京都田無保健所
2東京都淀橋保健所
3国立村山療養所
4川崎市中央保健所
5国立公衆衛生院
pp.32-41
発行日 1965年7月10日
Published Date 1965/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203430
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決して少なくない事故退院患者
松野(司会) 結核予防法の2次,3次の改正によって,命令入所制度が設けられたわけですが,これによって,どうしても入院を必要とするケースもなんとか処置できるようになった.これは,たいへん朗報だと思うのです.私どもの仕事は,人間を対象として働いています.それぞれ人には,環境や社会的背景,生活歴,ものの考え方などが違うと思いますので,入院させてやれやれと思いましても,そういったいろいろなその患者の背景によって思わぬ問題が生じてくる.たとえば,病院から退院を命ぜられてしまうとか,あるいは自分から出てきてしまうとか,いろいろな問題が生じるわけです.そういった問題が出てくると,まず病院では,保健婦が最初にいろいろ働きかけているので,保健婦になんとかしろという連絡がくる.特に地方の保健婦がそうですが,なんとか患者さんのためにしてあげなければならないとひじょうに悩むわけです.きょうは,こういう問題ケースについて,どのような考えをもって対処していったらいいか。事故退院患者のとり扱いということを中心にみなさんのご意見をいただきたいと思います.この問題はなんといっても命入患者が中心になると思いますので,まず命入患者について概略を伺いたいと思います.
斎藤 私のところでは,命令入所患者が,39年12月末現在で740,そのうち退所したものが228おります.そのうち事故退所したものが33人いるのです.
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