特集 結核保健指導の再検討
保健婦に必要な結核の知識—よりよい保健指導をするために
木野 智慧光
1
1結核予防会結核付属療養所
pp.12-17
発行日 1965年7月10日
Published Date 1965/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203426
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はじめに
従来は病床不足から止むをえず行なわれていた結核患者の在宅治療も,化学療法の進歩によって今日ではとうぜんのこととなり,さらに健康診断の普及による軽症例発見の増加と相まって,就業治療も本格的に行なわれるような時代になってきております.昭和38年の結核実態調査の成績をみても,肺結核患者200万人のうち,入院を要するもの45万人に対し,在宅休業を要するもの30万人,就業化学療法でよいものは実に125万人と推計されています.もっとも200万の患者が全部発見されているわけではなく,本人が病気を自覚しているものの率は,病状によっても異なりますが,平均して約40%に過ぎません.別の資料から,現実に治療を受けている患者は全国でつねに70万人前後はいると推定されていますが,そのうち2/3は外来治療を受けているのです.入院のほうに病状の重いものが多いのはとうぜんですが,少なくも数の上では外来患者は入院患者の2倍以上もあり,また患者個人についてみても,入院期間より外来通院の期間のほうがはるかに長くなってきているのです.在宅患者の管理が適切に行なわれるか否かが,今後の結核対策の成果を大きく左右するといってもいいすぎではありません.
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