講座
保健婦に必要な法律について
伊部 英男
pp.10-13
発行日 1952年10月10日
Published Date 1952/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200371
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1,保健婦に必要な法律について簡單に説明することを求められたのであるが,順序として先づ法とは何ぞやということが問題になる。法についてはいろいろむづかしい定義があるがこの概念は既知のものとして常識的に国が制定する抽象的規範であつて強制力を伴うもの位に解してその種類について説明したい。法にはその制定した機関によつて各種の種類があり,通常法形式といわれているが,我が国では憲法,法律,政令,省令,告示,都道府県条例,都道府県規則,都道府県告示(市町村についても同樣)がある。憲法は国の基本的な組織とその働らき方を示したものであつて,いかなる法令もこれに違反すれば無効である。法律は国会,政令は内閣,省令は各省大臣が制定する法形式であるが,法律が最も基本的な法形式であつて他は法律の委任を受けて或はこれの施行上の手続規定を定めるだけである。告示は本来は各省大臣の行政處分を一般に知らせることであるが,法令の委任を受けて法令的な事項を規定した場合は一種の法形式といつてよい。都道府県条例は地方議会によつて制定されるが,法律に違反することはできない。都道府県規則は国の機関としての都道府県知事が制定するもので法律等の施行細則にあたりいづれも当該地方公共団体の範囲でしか通用しない。
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