学生ノート
はっきりさせたい保健婦の仕事
pp.63
発行日 1965年6月10日
Published Date 1965/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203419
- 有料閲覧
- 文献概要
実習に出る前までは,自分の仕事の対象をどうしても在宅患者に重点をおいて考えていた.私自身病気で3年ほど療養生活を送っていたことと,臨床看護がすきで看護の道を選んだことが大きなウエイトを占め,私の新らしい仕事に勝手な夢をたくしていたようである.
しかし,実習を終えて,公衆衛生学的立場で保健婦の位置を考えてみた時,もちろん在宅患者の看護も必要なことではあろうが,どちらかというと,その病気を起こしている根本原因の除去に重点を置かねばならない,ということを改めて感じた.「病人も,病人なりに楽しい人生を送る権利がある.だから,そのための助力をするのが私の仕事だ」という狭い考えで保健婦をやってはならない.もし,それがやりたいのならあくまで臨床看護婦として仕事をやるべきだ,と考える.それでは,いったいだれが在宅患者に看護の手を差し伸べるのか,といわれると,答えられない.確かに現状ではだれもその仕事をやる人はいない.だから保健婦がやっているのである.やっているから,今後もずっとそれを受け持ってやりつづけねばならないということはないと思う.
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.